またたび 米研ぎざる編み体験

さて、その翌日。
今日は、またたびの米研ぎざるを習いに行きます。
お世話になるのは、昨秋に一緒にまたたびを取りに連れて行ってもらった「師匠」です。

日ごろ、またたびざるの製作をお願いする立場として、「材料の採取」「材料の加工」
「かごを編む」と、一通りの工程を体験してみたいと常々思っていたので、
今日の日をとても楽しみにしていたのでした。

しかし、たった一日では米研ぎざるは完成できないとの判断から、
①編みはじめから立ち上げまで
②縁を巻いて、完成するまで
師匠は、二つの工程を体験できるように、事前準備しておいてくれたのでした。

まずは、①編みはじめ
真剣に取り組んでいるのは、旅の道連れ、友人の石橋さん。

ひごを均等に揃えてから、あじろ編みでのスタート。
材料は表と裏があるので、注意が必要ですよ~。
あっ、間違えた!

「ダメ、やり直しだ!」
と怒られているわけでは、ありません。

底部分が出来上がると、外側を巻いていく作業へと移っていくのですが、
使用している材料の幅は、わずか3mmほど。なかなか高くなっていきません。
米研ぎざるの高さは、だいたい12cmほどですが、そのためには少なくとも
30周以上巻いていく必要があるのでした。

本当に気の遠くなる作業。そして、集中力が切れたまま作業していると、
すぐにミスしてしまいます。
気づけば、すでに夕方になろうという時間。あわてて次の②の作業に移りました。

上部に、縁取りのクマゴヅルをのせたあと、立ち上がっているひごを
一本一本巻いていきます。一周で、合計72本を巻く計算になります。
そして、師匠の米研ぎざるは外側にもう一本、化粧回しとよぶ細めの縁を巻くので、
さらに倍の作業が追加されるのです。

このたび、出来上がった「米研ぎざる」は、こちらです!

この日、われわれが体験したのは、編む行為全体の3割程度の作業。
たったそれだけでも、6時間以上費やしていました。

今回経験して分かったのは、腕や経験ももちろん必要ですが、まず根気や
集中力が必要であるということ。
そしてなにより、かごづくりを楽しむ!という気持ちが一番大切なのでしょう。

というわけで、二日間のまたたびざるの旅は終りとなります。
これからも、つくり手の方の実際の作業を体験することで、つくる人とつかう人を
より近づけられるよう、そのような存在になっていければと思うのでした。

征一郎

 

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