ケニアのかご産地を訪ねて「サイザルバスケット」(1)

今回のケニア旅の一番の目的は、当店のオープン当初からずっと届けてもらってている「サイザルバスケット」の産地を訪ねることです。

日本にはないこのかごが、どんな場所で、どんな暮らしの中で作られているのか。そしていつもケニアの手仕事を日本に届けてくれる「en plus (オンプリュ)」の中島志保さんが、ものづくりの現場と日本をどのようにつないでいるのか、たくさんの質問を胸に、早速中島さんのご案内でマチャコス地方へと向かいました。

大都市ナイロビの渋滞を抜けだすと、景色はすぐに、素朴な暮らしが垣間みえる田舎道に。南部の目的地の村へとつながる最後の道は、未舗装のでこぼこ道。雨が降ると大変なことになるそうですが、幸いにもこの日は快晴!車を降りると、青く広い空がひろがっていました。

午前10時過ぎ。村に到着すると、手に手に編みかけのサイザルを持った女性たちがすでに数十人ほど。遠く日本からやってきた私たちを歓迎しようと、普段はそれぞれの自宅で作業をしている編み手さんたちが集まってくれていたのでした。

聞けば、遠い人は20キロ以上も離れた村から来てくれたそう!バスなどの公共交通のない中、朝早くに家を出て、徒歩で集まってきてくれたことに、のっけから感激してしまいました。

そして教会に集まり、歌ってくれた歓迎の歌の美しさ。言葉では言い表せません。

サイザル製品の生産者団体として数十人のメンバーで活動しているこのグループ、enplusさんとは10年を超える長いおつきあいになるそうです。

整然と納品を待つバスケットの山を眺めると、使う人によろこんでもらえるようにいろいろな工夫をこらし、日本からの様々なリクエストに応えられるよう、技を磨いてきたことが伝わってきます。

サイズや柄にもよりますが、一つのサイザルバスケットを編む作業だけで、2~3週間もの日数がかかるそう。

それに加えて、その前後の工程のひとつひとつに、日本で想像するよりはるかに長い時間を要することを、今回行ってみて実感しました。

たとえば、マーケットが開かれる曜日に合わせて大きな町に移動し、材料のサイザルの束を大量に調達して運ぶ、とか、焚き木の上に大鍋をおいて湯を沸かし(村までは電気やガスが引かれていないので)サイザルの束を一色ごとに染色して乾かすとか、革を使う部分は町の革工房まで運び込む、などなど。

交通網が整っておらず、宅配便のようなサービスもない中、どうやってモノを移動させるか毎回自分で調整しなければなりません。時間がかかるだけでなくほんとうにひと仕事です。

そんな中、常に編みかけのバスケットを手元に置き、農作業や、子育て、家庭の仕事をやりくりしながら、手が空けばわずかな時間でも惜しまずに手を動かす女性たち。電気がないので、夜は作業ができないということも、行ってみてはじめて知りました。

マチャコスのサイザルバスケットがもつ温かみは、こうしたこつこつと粘りづよい手作業の積み重ねから生まれてくるのだと思いました。いつの日か工業化される日が来たとしても、この風合いを機械で再現することはむずかしいことでしょう。

そして、シンプルで良いデザインのものを、丈夫に美しく編み上げて日本に届けたい、という共通の思いが、オンプリュさんと作り手の皆さんを強くつないでいることを、実感しました。

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