続いてご紹介するのは、男前なかご。
いわき市・小名浜港で活躍した「万漁かご」です。
いわき市・小名浜港で活躍した「万漁かご」です。
福島県沿岸部の小名浜は、東北有数の漁獲量を誇る港町。
かつて、その港内で魚を運ぶコンテナ代わりに使われていたのが,
この「万漁かご」でした。
その後、プラスチック製品の台頭により、多くのかご職人たちは仕事を奪われますが、
西山昭一さんは大きく変化を続けていく時代を乗り越え、この道一筋、60年以上
竹籠職人を続けてきました。
震災の当日、小名浜港にほど近い工房は、津波の被害を直接受けてしまいます。
並べていたカゴはすべて流され、工房は泥だけの海水に覆われてしまいました。
一時は本気で竹かご作りをあきらめるしかないと考えていたそうですが、
これまでかごを愛用してきてくれた方や、地元の人々の励ましにより、
ふたたび仕事を再開するきっかけになったそうです。
西山さんが職人を続けてこれたのは、腕のよさはもちろんのこと、
人とのつながりを大切にし、多くの方に愛されてきたことも大きな理由
なのではないでしょうか。
小名浜の万漁かごは、たくましくてよく働く、西山さんのような男前のかごです。
いとう