すこし遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
本年もまたどうぞよろしくお願いいたします。
2009年12月末に会社勤めをやめてから丸10年。
翌年から夫婦ではじめたこの店も今年で11年目を迎えようとしています。
以前、ぼくが働いていたのは、アウトドアスポーツの衣料を製造・販売しているパタゴニアという会社で、20代後半からの約10年間を過ごしました。
山好きが高じて選んだ会社でしたが、「ビジネスを通じて環境問題を解決する」ことを企業理念として掲げるこの職場での経験が、現在の仕事をえらんだきっかけにもつながっていて、今でも何かに行き詰ったり迷ったときの判断基準となっています。
今月19日にトークイベントを予定している長崎県の石木ダム問題も、パタゴニアが数年前から反対活動のための支援を精力的に行っていることを知り、自分も一度現地を訪れてみたいと考えていました。
そして、その機会をくれたのは、今回のイベントのゲストとしてお招きしている写真家の大西暢夫さんでした。
大西さんとはじめて出会ったのは、起業から一年が経とうとしていた頃。東日本大震災による津波で大きな被害を受けた、岩手県宮古市の漁港近くでボランティアに参加していた僕は、東北沿岸部の被災地を数か月にわたる取材を続けていた大西さんと、偶然同じ宿で出会ったのでした。
その後まもなく、大西さんは長年にわたって全国のダム建設予定地で暮らす人々の取材を続けていることを知るのですが、石木ダムの水没予定地・川原(こうばる)の住民のみなさんとも、20年以上の交流を重ねていたのでした。そして、初夏には蛍が乱舞する石木川のほとりでは、『ほたるかご』づくりの伝統が今も続いていることを教えてくれました。
昨年は大西さんの紹介により、一番のかご名人・松本マツさん(92歳)にお願いし、ほたるかごを製作していただきましたので、今回のイベントでもご紹介したいと思っています。
かごづくりの伝統も、身近な自然があってこそ。日本の原風景のようなうつくしい里山を次の世代に残していけるように。これからも、かごを売る店ができること、を意識しながら活動を続けていきたいと思っています。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
カゴアミドリ
伊藤征一郎