続いて、フジの採取のために里山へ移動しました。
まずはじめに必要となるのは、山主さんの許可。
田口さんは、フジのある近くの集落で農作業をしていた方に声をかけ、 その土地を誰が所有しているのか、おしゃべりしながら聞きだしていきます。
その際、自分がずっと箕づくりをして生計を立ててきたこと、どんな材料を取りたいのかということをどんな人にもていねいに説明している姿がとても印象的でした。
(お二人とも秋田弁なので、全部は聞き取れませんでしたが)
どの方もとても楽しそうに話していて、あらためて田口さんのコミュニケーション能力の高さを実感。聞き込みをはじめてから三人目で、無事に山主さんにお会いすることができました。
ようやく、フジの採取に着手。
フジは他の植物に巻き付いて成長するいわば厄介者なので、人の手により 適度に伐採することで、山にもよい影響があります。
よい材料となるフジの目印は、表面に見える横線の模様。
絡まずにまっすぐ伸びている蔓を選んで、鉈で切り落とします。
この時期は、樹皮と木質部の間に水分が多く含まれているので、強く叩いて刃を入れると、気持ちよいほどきれいに皮が剥がれます。
うまく剥がれない場合は、歯も使います。
箕に使うのは、皮の部分のみ。
樹皮を剥いだあとのフジの枝は、きれいに束ねて人目につく場所に置いておきます。
不思議に思って尋ねてみると、乾いたフジは良く燃えるので、薪ストーブの焚きつけにとても重宝するのだそう。山の中で採取した場合は自然に還すけれど、里では近くに住む人に利用してもらいたい という考えからだそうで、地域の人とのつながりを大切にしている田口さんならではの心遣いだと思いました。
そして、今日は思ったより早く作業が終了したということで、ご褒美タイム! 急遽、山菜ツアーに案内いただきました。
山ウド、ホンナ、タラの芽、葉ワサビなどなど、短時間でこれだけの収穫!
手で持ちきれない山菜は、コウゾの木の皮を剥いでロープにして運びました。 本当に豊かな秋田の山の恵みたち。 (この後、田口さんの奥様が豪華な山菜料理を用意してくれました!)
次回の素材採取は、8月後半。
ヤマザクラの樹皮の採取に同行しますので、またこちらでレポートいたします。