昨日は、二回目となる「海洋ゴミ」の勉強会を開催しました。その問題解決のため、30年前から活動を続けている環境NGO「JEAN」の事務局長 小島あずささんに現在の詳しい状況についてお話を伺いました。
「海洋ゴミ」は古くてあたらしい問題。人の暮らしにおいて、ずっと古くからゴミは発生しているけれど、そのほとんど天然素材であったこと、現代ほどたくさんのモノを必要としていなかったことから、ほとんどは自然の力で分解できていました。
安価で軽量、丈夫な特性をもつプラスチックが発明された当時は「夢の素材」といわれましたが、不要なゴミとなってしまうと一転、その優れた特徴がすべて欠点となってしまいます。
北海道・知床半島でのビーチクリーン活動の様子
現在、世界のプラスチック生産量は年間4億トン。そのうちの半分は、ペットボトルや食品の容器、生活用品の包装など、一度きりしか使わない「使い捨て」のもので占められており、さまざまな理由によって、年間約800万トンのゴミが海に流れ出てしまっています。
その解決のためには、社会全体の変革が不可欠ですが、まず私たちにできることは、目にしたゴミを拾うことと、プラスチック製品の消費を減らすこと。
たとえば、「ワンウェイ」の使い捨てプラスチックの消費を半減できたとしたら、全体の4分の1にあたる 1億トンのゴミを減らすことができますし、消費者のそのような動きは、多くの企業や社会にも大きな影響を与えることとなります。
会の後半では、参加者全員の方より寄せられた小島さんへの質問に、一つ一つていねいに答えていただきました。また、みなさんが日々の生活で取り組んでいること、あたらしいアイデアやこれから活動したいことなど、とても参考になる事例が多くありました。
今後は、「#海洋ゴミ勉強会」のハッシュタグをつけることで、その情報を蓄積していきたいと思っています。
以下は参加者の方からの質問、具体的なアイデアや今後の活動についてメモした内容です。ご参考まで。
※一部に省略、加筆の箇所があります。小島さんからの返答は割愛させていただきます。
○質問
・ペットボトルのリサイクル。回収しても、実はあまりされてないと聞きました。リサイクル率など実態はどうなっていますか?
・マイクロプラの発生源となっている製品の素材は、環境意識の高い国々ではどういったものに変わりつつありますか?
・植物由来の分解されるプラスチックも、海底などでは分解されないのでしょうか?
・海藻類(わかめや昆布)なども、マイクロプラを含んでいますか?
・マイクロプラスチックが入っている魚を食べても人体に影響はないのでしょうか?
・バイオマスプラや生分解性プラの使用は、促進した方がいいでしょうか?
・マイクロプラを将来的に回収できる可能性はあるのでしょうか?
・日本政府の対策が遅れている理由は? 企業の利益を守るため?
・消費者ができるには限度がある。国が力をいれてシフトしていかないと追いつかない。プラゴミの発生源となる企業への規制を、もっと厳しくできないでしょうか?
・仕事でオンラインショップを運営しています。洋服などを発送する際、商品の保護用に ビニールを使用しています。代替品となるものはありませんか?
○悩み
・いま持っている「アクリルたわし」や「フリース」はどうすればよいでしょうか。。。
・テーマが大きすぎて「どこから考えはじめていいか」わかりません。。。
・気をつけて暮らしていても、1週間で発生するプラゴミの量が多いのが悩みです。
・私が働いている飲食店(コーヒーチェーン店)では、今年1月より紙ストローに切り替えましたが、コストが高い、使いづらい、プラゴミと一緒に捨てられてしまうなど、多くの問題点が挙がっています。
○取り組みやアイデア
・保存容器はホーローやガラス製のものを使っています。
・シリコン製フードバッグ、みつろうラップを使用しています。
・ペット素材より、瓶を使っている製品を選ぶようにしています。
・海外のビーガン食材を扱う店では、調味料や食材はすべて量り売り、買い物客が容器を持参するというシステムでした。日本でも参考にしたいです。
・すべての食品容器をデポジット制にするのがよいと思います
・ゴミ=お金に。拾ったゴミを換金できる制度になればいい。ゴミ問題が深刻だったインドのとある地域で、短期間でゴミが消えたという話を聞きました。
・商品を販売するスーパーや小売店に、今日のような講演に参加することを(自治体などにより)義務づけにしてもらうのはどうでしょうか。
・植物ガイドの仕事をしています。路上で草花を観ていると、ゴミも多く見かけます。「植物観察会 + ゴミ拾い」のイベントをやってみたいと思っています。
・絵本の編集者です。今、海のプラゴミをテーマにした絵本作りを計画中です。
(そのほかにも、たくさんのアイデアやご意見がありました)
今後もこのような企画を継続して開催していきたいと思っています。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!