今日は、中国の切り絵「窓花」に関する上映会&ワークショップを
開催しました。
講師をしていただいたのは、造形作家であり、紋切り研究家の
下中菜穂さん、文化人類学研究家・丹羽朋子さんのおふたり。
現地には何度も一緒に足を運んでいるそうで、豊富な知識とともに
お二人の息もぴったりでした!
まずは、中国の黄河上流 洞窟の家「ヤオトン」を住居とする
漢民族の人々の暮らしと、窓花づくりの映像を鑑賞。
大地に横穴を空けた住まいのため、入口の数が限られるヤオトン。
その格子窓には装飾を施した優雅な細工が施され、「窓花」とよばれる
美しい紙の切り絵が飾られています。
ハサミと紙だけで表現する「窓花」は、農閑期の女性たちの手仕事。
毎年、新年が近づくと貼り替えを行い、招福や厄除の意味があるとともに
家族の健康や恋人へのメッセージなどが込められているのだそうです。
後半は、実際に切り絵の体験へ。
まずは、和紙を使った日本の伝統的な「紋切り」からスタート。
シンプルでなめらかな曲線が多いため、練習にピッタリです。
雪の結晶柄の紋は、江戸時代のお殿様がオランダの
顕微鏡を使って考えたのだそうです。かわいい!
続いて、中国の窓花に挑戦!
用意いただいた見本を元に、みなさんそれぞれ好みの形を選びました。
紙を重ねて切るので、一度にたくさんできるのも特徴のひとつ。
コピー機の登場など想像がつかなかった時代には、生活においても
必要な複製の技術だったのかもしれません。
壊れやすく、色も褪せてしまう儚い切り絵の伝統を、
手によって脈々と伝えてきたヤオトンで暮らす女性たち。
ただ切ったり、飾ったり、という行為だけではなく、
家族や未来に対して「祈る」という気持ちも加わって、
一枚の紙に刻まれているように思いました。
先週からスタートした ECフィルム上映会「一から作る」もいよいよ後半。
古い映像が物語る、手しごとがある暮らしについて、ぜひ想いを馳せて
みてください!
いとう