12月16日~18日は、ネーベルスロイド(白樺のかご)とスポーンコリ(マツのかご)のベテラン職人・ブロールさんとビヨルンさんをお招きして、ワークショップや実演、かごづくりにまつわるたくさんのお話を伺いました。
16日、17日は、ブロールさんと白樺工芸家の河内山淳子さんによるワークショップ。スウェーデンのヨーテボリ郊外に住んでいるブロールさんの周囲の環境や工房の様子、クリスマスの過ごし方などをスライドで紹介していただいたあと、白樺のかごの縁を根っこでかがるちいさなバスケットをみなさんと製作しました。
その翌日は、スポーンコリのかご職人、ビヨルンさんによるお話し会、そして
松のへぎ材を使ったかごづくりの実演を開催しました。
息子さんのヨナスさんも一緒に並んで
ストックホルム在住、「北欧スウェーデン 暮らしの中のかわいい民芸」の著者であり、スウェーデンの手仕事に詳しい明知直子さんの進行と通訳で会がすすみます。
スウェーデンから持参していただいたコーヒーと、サフラン入りのシナモンロールをいただきながら、ダーラナ地方に伝わってきたスポーンコリの歴史の説明にはじまり、ビヨルンさんのご自宅や工房を訪れたときの動画が映し出されると、まるで一緒に訪問したような気分に。
後半はいよいよ、スポーンコリの実演がスタート。一つ一つの過程を説明しながらも、ビヨルンさんの手は動きつづけます。
わずか30分ほどで本体は完了。つづいて、生の松の木を年輪に沿って手で割き、周囲の補強と持ち手を取り付けます。本場の伝統的な手業を間近にみることができた、夢のような3日間でした。
中でも特に印象的だったのは、ビヨルンさんが実演しながら語ってくれた素材の話でした。
スポーンコリの材料となるマツの木は、樹齢200年を超えるものも多いそう。寒冷な土地に育つマツは成長が遅いため、木目の詰まった丈夫な材料が手に入るのですが、そのような立派な松林は近年では急速に減少しており、あと数十年分しか残されていないこと。これからもこの手仕事を残していくためには、200年後に生きる人たちのための森を、今の自分たちが育てていく必要があるというお話でした。そして、いつか自分の息子にも跡をついでもらえたらと。
自然に寄り添いながら続けられてきたかごづくりの歴史。今後は、さまざまな地域で気候変動の影響を大きく受ける可能性がある中、日本もこれからのかご作りについて考えなければならない時が来ており、共通の問題だと感じました。
70歳を過ぎても探求心を失うことなく、もっとたくさんかごをつくりたい!と目を輝かせ語るお二人に、たくさんの刺激をいただいた毎日でした。
今回の企画をサポートしてくれた ヨナスさん、河内山さん、明知さんにも心よりお礼申し上げます。
「Brorさんのネーベルスロイド展」の会期も残りわずか。いよいよ12月22日(日)までとなりました。ぜひ本場の手仕事を手に取っていただければ幸いです!