『かごイチ』カンボジアのかご「moily」の販売&トークイベントが終了しました

秋の気配をぐっと近くに感じるようになった9月の2日目、
6回目となる『かごイチ』を開催しました。

今回のゲスト出店者は、カンボジアの小さなかごの村で、
日本に向けたかごの製作・販売をしている「moily」さん。

この日は代表の池宮聖実さんに、お住まいの滋賀県から国立まで
お越しいただきました。

 

定番のランドリーバスケットやトレイに加えて、新作の手提げかごや
現地の村々を巡って手配したという珍しい竹かごなど、たくさんの
製品が並びました。

また閉店後のトークイベントでは「moily」を立ち上げるまで、そして
今日までの歩みを、いろいろなエピソードとともに楽しく聞かせて
いただきました。
 
池宮さんが、この仕事をはじめたそもそもの土台には、大学生のときに
はじめて訪れたカンボジアでの経験があったそうです。
 
「貧しい人の役に立ちたい!」との思いで途上国でのボランティアツアーに
参加した池宮さん。長く悲しい内戦の歴史をもち、地雷も多く残るという
カンボジアはどれほど悲壮な雰囲気の国なのだろうと想像していたものの、
訪問先で出会った人々はみな明るくて人懐っこく、旅行者である自分に
やさしく声を掛けてきてくれることにとても感動したそう。
経済的にはとても貧しいかもしれないけれど、日本の暮らしの中で
感じる幸せとは全く異なる、もっと本質的な感覚の幸せの存在について
学んだそうです。
 
当時、学校の先生になるための勉強を続けていた池宮さんは、
「これまで学んできたことは何だったのだろう・・・、このままでは
本当に大切なことを教えられない教師になってしまうかもしれない。。。」
との思いからその年の教員試験は見送り、アジア・アフリカ・中東・南米
など、日本にあまり情報が入ってこない国の人々の暮らしの実情に
触れようと、世界16カ国を巡る旅に出発しました。

この旅での様々な経験を通じて「何かしてあげる」一方的な支援ではなく、
お互い共通の目標を持って問題の解決を目指す「ビジネス」を立ち上げたいと
思うようになったといいます。
 
その後、2014年に再びカンボジアを訪れたときにはじめて、人々の暮らしに
身近な手仕事である「かご」の存在に目を引かれます。
古くから人々の生活に不可欠だったかごはとても丈夫。そのままの状態で
日本で販売するのはむずかしいけれど、デザインや形をすこしアレンジ
することで、かご作りの技術を守りながら、地元の雇用につながる
ビジネスにつながるのでは! と思ったのが「moily」を立ち上げる
きっかけとなったそうです。
 
翌2015年に起業し、今年で三年目。
徐々に軌道にのりはじめましたが、小さなトラブルは今でも日常茶飯事。
事前に製作をお願いしていたはずの数に足りないことはよくあることで、
逆に30個だけ頼んだはずが、200個以上のかごが仕上がっていたことも!
「仕方ないから、すべて引き取ったんですよ~」と、大変なエピソードも
明るく笑って話していた池宮さんがとても印象的でした。

日頃当店でもご紹介しているmoilyさんのかごが、どのような人々の手で、
どのように作られ、どんな考えの人を通じて届くのか? とてもわかりやすく
伝わってきました。イベントに参加いただいた方の中にも、ソーシャル
ビジネスに関心のある方や、海外でのものづくりに実際に携わっている人も
いらっしゃって、とてもためになったという感想も聞くことができました。
 
まだ30代になったばかりの池宮さん、これからの活躍がとてもたのしみです!

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