カゴアミドリ

               

今年もありがとうございました!

本年も多くのみなさまにご利用いただきまして、ありがとうございました。

おかげさまで、ネットショップでのスタートから6年目、実店舗は4年目を
迎えることができました。

今年を振り返ってみると、、、
8月には北アフリカ・モロッコを訪れ、伝統的な椰子のかごを編んでいる
作り手さんの自宅を訪問させていただきました。

マラケシュ郊外に住んでいる村の女性たちが、家事の合間に時間をみつけ、
手を動かし、代々かごづくりを続けてきた、その伝統的なくらしぶりを
垣間見ることができました。

マラケシュのマーケット
家事の合間のかごづくり

フランスは6年ぶりの訪問。
当店にかごを届けていただいている、すべての職人さんにご挨拶ができました。

日本と同様、古くから伝えられてきた各地の伝統的なかごは、やはり作り手の
減少に悩まされていましたが、その反面、フランスの人々にとってかごは
今でも欠かせないくらしの道具であり、都市部や地方、家庭や商店などで
使い込まれているたくさんのかごたちを、目にする機会がありました。

つくる側も、職人、作家、アーティストなど、さまざまなスタンスで活動する
姿がとても印象的でした。かごの使い手、作り手ともに層が厚いのです。

これは余談なのですが、フランスの空港や駅、街のいたるところでみかける
チェーン店のブーランジェリー「PAUL」さん。日本にも出店しているので、
見かけたことがある人も多いと思いますが、こちらで使われている陳列用の
バスケットは、おそらく国内の職人さんにしっかりとオーダーされたものの
ように思われます。

すべてをよく見たわけではないので、例外もあるかもしれませんが、
少なくとも焼きたてのバケットを立てておくためのヤナギのかごは、
今も中部の町の職人たちによってつくられている伝統的なバスケットの
ようでした。

お店が自信を持って販売する商品は、それを陳列するためのかごについても、
きちんと作られたものを選んで使う、そんな文化が根付いている国だとすれば、
フランスのかご事情に学ぶものが、日本にもたくさんあるように思いました。

日本の、例えば、すべての和菓子店が、昔も今も日本の職人による
竹かごを採用していたとしたら、現在の日本のかごづくりを取り巻く環境は、
別のものになっていたと思うのです。

ロジャーさんは、代々ブルターニュ伝統の「牡蠣のかご」を
つくり続けてきた家の職人

マルセイユの「パニエ(かご)地区」の看板

一方日本国内では、今年も何人かの作り手さんが引退をされ、
来年以降のご紹介ができなくなってしまったかごが多数ありました。
それは、ご自身の年齢や健康によるものだったり、ご本人はまだまだ
元気でも、ご家族の介護が忙しくなってしまったり。

日頃、お世話になっている作り手さんには、年に一度はご挨拶に
伺うようにしているのですが、いつもそのようなお知らせは突然に
やってきてしまいます。

もうすこし早く訪問しておけばよかった、最後の一点となってしまったかごを
もっとていねいに説明してお客様に手渡せればよかった、、、
といった後悔を、このところ繰り返しているような気がします。

かごを販売するお店にできること。
開店から6年ちかくが経ちましたが、まだまだその答えは見つかりません。

が、今「かご」に関心を持って、当店に来てくれる方のほとんどは、
道具・実用としてのかごの価値だけに関わらず、その土地や作り手さんの状況、
今後の文化の継承についても、さまざまな興味を抱いてくださっていると
感じています。

岩手県・宮古市の鈴木利雄さんから、三年ぶりに
「横田かご」が届けられたのは、本当に驚きました。

その中で、当店にできることといえばやはり、繰り返し産地を訪れることに
よって気づかされる土地と人の結びつきや、毎年顔をあわせる作り手さんの
ちょっとした変化だとか、一つのかごの生み出されるその背景を、
ひろくお伝えしていくことなのではないかと思っています。

作り手さんの高齢化や後継者の不足は、さらに今後も続いていきますし、
深刻な問題としてありますが、それらを声高に伝えるだけではなく、
かごの産地ならではのゆたかさときびしさ、かごを編むことによって
もたらされる、たのしさとつらさの両面を知りつつ、
その場で感じた思いも同時に表現していけたらと考えております。

岡山倉敷でいぐさのかごを作り続けている須浪商店さんでは、
新たな後継者が誕生しました。

身近な植物を採取し、編むことによって暮らしの道具へと変化させていく。
古代からほとんど変わらぬそのシンプルな営みは、かご作りをする人、
かごを使う人にとっても、心のゆたかさをもたらしてくれるように思います。

時代によって変化しつつも、その営みがこれからもずっと続きますように。

2016年も、その魅力を一つでも多くみなさまに紹介できればと考えております。
来年もどうぞよろしくお願いいたします!

カゴアミドリ
伊藤征一郎・伊藤朝子

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