モロッコ 椰子のかごの村へ

涼しかったパリから、はじめてのモロッコへ。

地中海を超えアフリカ大陸に入ると、地上の視界がぼんやりと茶色く
見えてきたのは、やはりサハラ砂漠にほど近い土地だからなのでしょうか。
およそ、3時間弱のフライトで、マラケシュに到着しました。

当日の日中の気温はおよそ38度。
もちろん、すっごく暑かったのですが、日本に比べ乾燥していることと、
その一週間くらい前までは、45度近い! 気温が続いていたと聞いて
覚悟を決めていたからなのか、思いのほか快適に過ごすことができました。

リヤド(宿)に到着後、さっそく旧市街の広場を散策してみました。
数歩足をすすめる度にかけられる、客引きの声。
ヘビやサル使いの大道芸と、ひびき渡る太鼓のリズム。
日が沈んでもにぎわいは一向に衰えず、そのエネルギーに圧倒されました。

 

毎晩、深夜2時すぎまで続くそう!

さて翌日はいよいよ、かごの村へ!
今回は、現地に在住している知人を通じて、マラケシュ郊外の村で
椰子のかごを編む、若い女性のお宅まで案内していただきました。

車を降りると、集まってきたこどもたちと、すれ違う村人にごあいさつ。
赤い土壁で囲まれた入口から入っていくと、そこが目的のお宅でした。

 
ツートーンカラーがかわいらしい!
外には編んだばかりの、椰子のテープが乾燥のために干されていました。
 
案内していただいた客間は、エアコンはないのに涼しく、広くて快適な空間。
まもなく熱いミントティーとともに、満面の笑みで迎えてくれた若い女性が、
椰子のかごの編み手の方でした。
 
代々、椰子のかごを編んできた大家族に育ち、その家庭では7人の女性が
かごを編んでいたとのこと。この方自身も、ちいさなころに自然と編みかたを
覚え、すでに14年ほどの経験がありました。
 
結婚を機にこの場所に移り住み、もうすぐさいしょの赤ちゃんも生まれる
予定ですが、変わらずにかご作りを続けているそうです。
 
早速、実際のかごづくりの作業を見学させてもらいました。
事前に、一本の長いテープ状に編んで干しておいた材料を、
若く細い椰子の葉を使って、くるくるとつなげていく作業を行っていきます。
 
 
わたしたちの質問に笑顔で答えながらも、作業は休むことなく
続けられていきます。

 

あっという間に底面が編みあがりました。
 

縁まで編みあがったところ
  

農作業や家畜の世話、育児や家事の合間をうまくみつけながら、
代々家族のくらしを支えてきた、女性たちによるかごづくり。

決して、急な市場の動きにあわせたり、効率よくできるものづくりの
スタイルではないけれど、かけがえのない家族と過ごす時間の中で、
女性たちが工夫をかさねることで続いてきた、かご編みの伝統。

その実際の暮らしの姿を垣間みる、貴重な経験となりました。

その後にいただいた、自家製パンと豆煮込みのとびきり美味しかったこと!
またいつか、あたらしいご家族を訪ねに伺いますね!

いとう



ARCHIVE