東松島より戻りました(後篇)

さて、翌日は東松島市、小野駅前仮設住宅に伺いました。

ここは、大西さんが被災された方々への聞き取り取材を行った場所。

今年2~3月にかけて、住宅内の一部屋にスタジオを作り、
ここに身を寄せるひとりひとりに、震災当時の状況を語ってもらったそうです。

そのインタビューをまとめたのが、先日発行された冊子、
3.11の証言 -心に留める東日本大震災- 」です。

自治会長の武田さんがやさしく出迎えてくれ、お茶をいただきながら、
最近のお話を伺いました。

朝10時を過ぎると、徐々に女性たちが集まりはじめ・・・、
次第ににぎやかになってきました。

共同で製作している「おのくん」の作業のためです。

長い腕を組んで、「めんどくしぇ~」というのが、決めのポーズ。

「おのくん」は、小野駅前仮設住宅からネーミングされた、一対の靴下でつくられる
色とりどりの人形です。

見た目は、サルのような、モグタンのような… 少しカワキモ(すみません)の
領域にあるところに、愛おしさがある気がします。

一つ一つに、「被災後の先の見えない不安の中でも、『めんどくしぇえ~』と
いいながら前向きに、そして新しい未来を自分たちの手で築いていこうと
いう思い」が込められています。

そんな願いを込めつつ、なごやかな雰囲気の中、おかあさんたちがチクチクと
ミシンや手縫いで作っています。

さて、その後は、大西さんのガイド&解説により、東松島~石巻を巡りました。

今となってはきれいに片付き、一見したところでは何も気づかない場所の
一つ一つに、たくさんのドラマがありました。

(線路の無い駅。この小さな建物に登り、ひとりの男性が助かった。)
(東名地区周辺は地盤沈下が激しく、まるで沼地の様)

(鳴瀬川。この河口付近を襲った津波の高さは7.8m)
(津波のあと、火災の被害をうけた石巻の小学校)
(石巻港にかかる橋。中央部にいた人は無事だったそうです。)
がれきが片付き、緑の草が根付きはじめ、日に日に風景が変わっています。
つらい経験をされている人々にとって、一日も早く土地が片付いていくことは
とても大切なことでしょう。
でも、そんな今だからこそ、この景色をしっかり目に焼き付けておきたいと思いました。
今回は、小野駅前仮設住宅の皆様、大西暢夫さんのご協力により、
貴重なお話を伺うことができ、忘れられない時間を過ごすことができました。

本当にありがとうございました。また、必ず伺います!

征一郎

ARCHIVE