カンボジア Moilyのかご

カンボジアとベトナムの一部の地域でしか育たないといわれる「ラペア」を編んだ、カンボジアのステキなかごをご紹介します。

ラペアは、艶やかな肌色をしており、見た目は細いヤナギのようなうつくしい素材で、ラペアが自生する地域の周辺では、昔からかご作りに使われてきたそう。耐久性も高く、湿気にも強いといわれています。

(写真はすべてmoily提供)

日本の暮らしにも合う、使いやすいデザインに仕立てたラペアのかごを届けてくれるのは、「moily」の池宮聖実さん。
この仕事をはじめて以来、長い時間をカンボジアで過ごし、現地と人々とともに過ごしながら、かごづくりに奮闘している元気な女性です!

 

ぼくもこれまで、アジアのかごの産地を訪れたことがありましたが、言葉や文化の違いや、モノづくりに対する尺度も日本と大きく異なりました。
現地の人々と信頼関係を築き、品質の良いかごを編んでもらうには、情熱とともに長い時間が必要なことを感じました。

そこでカンボジアのかごの取り扱いをはじめるにあたって、現地のこと、池宮さんご自身のことについて、あれこれインタビューをさせていただきました。
ぜひ多くの方に一読いただければ幸いです!

Q:moilyをはじめたきっかけは?

2010年~2011年の頃、途上国と呼ばれる国の人が考えていることを知りたくて、バックパックひとつで南半球を周り、現地にすむたくさんの人たちと生活を共にしました。

その経験の中で、家族や兄弟のように大切な人たちとたくさん出会いました。そのうちに、彼らの貧困からくる問題が、人ごととして考えられなくなっていったんです。
私に出来ることはなんだろう? と、日々悶々と考えていました。

そんな時、衣・食・住の全てが整い、自然環境にも恵まれた村の偉い人から、「日本人だったら、かわいそうな私たちの村に、なんでもいいから援助をしてくれないか?」と、言われたことがありました。その時、なにかがおかしいって思ったんです。

そのことをきっかけに、私がやりたいのは一方的な支援ではなくて、彼らの意見を聞き、同じ方向を向いて一緒に仕事をしながら、社会問題をも一緒に解決していくことだ! と気付きました。それが今のmoilyの原点です。

Q:どうして、カンボジアを選んだのですか?

それから3年後の2014年に、再びカンボジアを訪れました。その時、カンボジアの生活用品であった「かご」に、市場で初めて出会ったのです。

生活に根付いたかごは、とっても素朴で丈夫。デザインを変えれば、もともとある技術を守りながら雇用を作り、カンボジア独自の商品が作れる!そして、これでちょっぴり社会をよくする仕組みがつくれたら! と思い立ったのです。

今はアンコールワットにほど近い、アンチャーン村周辺の3つの村でかごづくりの活動を行っています。

Q:それぞれのかごの産地は、どんな場所ですか?

かごの素材「ラペア」が分布している場所の周りの村です。カンボジアでは素材が採れる場所の近くで、かご編みの文化が発展していったようです。

ラペアは藪の中で採れるので、村も田舎で自然いっぱいのところです。もちろん電気や水道はありません。

Q: moilyのかごづくりに携わっているのは、どんな人々ですか?

編み手さんは男性、女性、17歳から60歳ごろまで様々です。メインの仕事としては、農業をやっている人が多く、農閑期を中心にかご編みをしてくれています。

Q:現在の活動状況をおしえてください。

活動をはじめた1年目(2014年)は、村の人との信頼関係、品質の向上などのため、殆どの期間をカンボジアで過ごしました。

2年目は、そのかごを日本に運び、販売をスタートするため何度も現地を往復する必要がありました。通算すると、半年ほど現地にいた計算になります。今年も同じくらいになると思います。

Q:かごづくりにおいて大切にしていることは?

ラペアという素材はとても素晴らしく、長年使って頂けるものです。現地では何十年と使っています。ですので、それと同じように長年使って頂ける品質、デザインにしたいとおもっています。

また、最初から最後まで1人の編み手さんが手作りでつくるので、品質の向上をめざしつつも、あまり型にはめ過ぎず、それぞれの個性もすこしづつ表現できるようにしています。

 Q:現地の人々とのコミュニケーションについて、大切にしていることはありますか?

日本人の考え方が正しいと思わないことです。日本は先進国と呼ばれていますが、日本の働き方や、考え方が正しいとは思っていません。カンボジアに入れば彼らの考え方、はたらき方が正解だと思っています。ですので、まずはカンボジアの方たちが何を思い、どうしたいのかを聞くことを大切にしています。

Q:現在の仕事のやりがいとむずかしさはなんですか?

日本と同じようには物事が進まないことですね。。。毎回毎回そうきたか!という問題にビックリさせられます。

それは日本の常識的には考えられないようなことばかりですが、人間らしくて面白いなぁとも思ったりしています(笑)。その分、思いもよらないような成長や努力を見た時は、とっても感動するんです!

Q:日本のみなさんに伝えたいことはありますか?

カンボジアの編み手さんたちが、誇りを持ってつくっているかごです。手に取っていただければ、ていねいあたたかい手仕事であることと、素材の良さが伝わってくると思います。

全てのかごには、編み手さんの名前を記したタグをつけてお渡ししています。カンボジアでかごづくりをして暮らしている人々を、身近に感じてもらえたらって思います。

もし、かごを使っているお写真や、メッセージなどがありましたら、ぜひお送りください。現地の作り手たちにとって、大きな励みになります。カゴアミドリさん宛てにお送りいただければ、私が責任を持って現地まで届けさせていただきます!

Q:これからの目標を聞かせてください。

自分たちの「仕事」と「製品」について、もっと誇りが持てるようになっていければと思っています。そしていつか一緒に、カンボジアの社会問題を考えていきたいです。

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池宮さんの言葉は、現地の人と膝を付け合わせて対話をしながら、ともにものづくりを続けてきた人ならではの言葉であるように思いました。

このインタビューをさせていただいた翌日には再びカンボジアに向かうとのことでした。これからも現地に通い続けていくであろう、池宮さんのその情熱についても、もっとお話を聞きたいと思ったのでありました。

伊藤征一郎

 

 

 

 

 

 

 

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