こんにちは。4月に突入しましたね!
こちら国立では、桜が満開となりました。
月末は、東北の産地を巡っていたので、たった一週間で本格的に訪れた
春爛漫の桜景色がなおさら色鮮やかに見えます。
今年も、北東北のかご産地を訪ね、いつもお世話になっている
作り手の方々にご挨拶に行ってきました。
まず向かったのが、岩手の宮古漁港で活躍していた竹カゴ「横田かご」
の作り手さん。ちょど4年前の今時期は、震災の影響で10日間以上も
電話連絡ができなかったので、本当に心配していたことを思い出しました。
ここ数年は体調を崩されてしまい、かごづくりができなくなってしまったの
ですが、趣味の高校野球観戦や昔話がとても楽しみで、いつも真っ先に
訪れる場所です。
かごづくりをあきらめてから、すでに二年以上が経ちましたが、今も道具は
手入れを欠かさず、大事にしまっていたのが印象的でした。
手入れを欠かさず、大事にしまっていたのが印象的でした。
横田かごづくりの七つ道具
その後は、津波の被害が大きかった沿岸域をまわりました。
当時大きな防潮堤があった同じ宮古の田老地区も、だいぶ整備が進んでました。
三陸鉄道の田老駅から眺める景色。
震災当時は平地が広がるだけでした。
震災当時は平地が広がるだけでした。
その後は、岩手県北部、いまだ雪景色が広がる二戸に向かいます。
一戸町の鳥越地区は、鈴竹細工が盛んな地域。
ここでもいつもお世話になっているつくり手の方を訪ね、この一年の
現地の状況を伺いました。
昨年は、「市場かご」や「椀かご」の名手といわれるベテランの方々が続々と
引退してしまった年だったといいます。しかしそのような中で、若い作り手の
方々が協力し、切磋琢磨しながら、あたらしい取り組みをはじめるといった
動きもあるそうです。
そして、かごの作り手だけでなく、材料を加工する道具の手配も
重要な問題です。
地元の鍛冶屋さんも深刻な後継者不足となっているため、今後は県外の
鍛冶屋を探す必要があるかもしれないとのことでした。
(ぼくも知り合いの鍛冶屋さんがいるので、「銑(せん)」を呼ばれる
道具一式を預かって、注文製作ができるか聞いてみることにしました)
「銑」とは材料のひごを整える、大切な道具の一つ。
そして翌日は青森県の弘前へ。
岩木山の麓もまた一面の雪景色でした。
山麓にはリンゴ畑が一面に広がっています。
訪問したのは、根曲竹のベテラン職人さん。
今回の目的のひとつは、根曲竹の材料の選択について話をきくこと。
一つのかごでも、部位によって年数の異なる材料を使い分けて仕上げる
のです。 並べて比較していただくことで、その違いがよくわかりました。
本体は2-3年目のものを多く使いますが、柔軟さが必要な縁巻きには1-2年の
もの。また採取する場所によっても、しなりに強いなどの差が出るそうです。
こちらは5-6年めの根曲竹。持ち手のみに使います。
はじめて東北の産地を訪れた時は、完成した製品にしか目が届かず、
材料となる素材や道具のことまでは、なかなか気づくことはできませんでした。
しかし、直接現地に足を運んで話を聞くほど、かごづくりにまつわる背景が
少しづつわかるようになってきて、さらにその奥深さの魅力にひかれています。
今夏もまた訪れる予定です。
いとう