今回の旅では、スペインまで足を伸ばし、いつも栗のかごを作ってくださっているダビドさんも訪ねてきました。
スペインの西部、中世の雰囲気が残る都市サラマンカから、バスに揺られてさらに数時間、緑豊かな山々の谷あいに、その小さな村はあります。
山の上から集落を一望
乾燥地帯の多いスペインの中にあって、瑞々しい広葉樹の森に恵まれたこの地域は、古くから「栗のかご」の名産地として知られてきました。
ダビドさんと合流し、まずは早速、材料となる栗の木を見に森へと向かいました。
このあと急斜面のやぶを登っていきます
森の中なのに明るい!というのが第一印象でした。
森がこんなにも明るくさわやかなのは、日当りを確保するために、また若い幹がまっすぐ伸びていくように、葉や枝の一部を払うなど、こまめな手入れをおこなっているから。
こうして村の人たちが手入れを続けてきた天然の栗林は、落ち葉が栄養になるため、特に肥料など施さなくても土壌が保たれ、100年以上にわたって、材料を採りつつ維持されてきたそうです。
自然のサイクルに沿ったものづくりが、今もそのままの形で続いていること。それはこの時代にあって、本当に貴重なことですが、この土地ではごく当然に、最良の方法として、人びとに受け止められているのだなと感じました。
伐採は、水分が抜けて乾燥する冬時期に行います。
樹齢4~5年、直径7~8センチほどに育った若い幹が、柔軟性の高いかご作りに最も適した素材となります。
足元をよくみると、ごつごつと大きな根株が。
一本の株から、毎年何本もの芽が伸び、
繰り返し恵みを与えてくれます。
つぎはいよいよ、ダビドさんの工房にお邪魔します!
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