ペリゴールのかご「ブイリクー」を訪ねて

作り手のフィリップさんにお会いするため、この夏ペリゴール地方に足を運んできました。

フランス南西部に位置するペリゴール地方は、多くの自然が残る美しい地域。フォアグラ、ワイン、それからセップ茸が採れることでも知られた美食の地でもあります。

郊外に広がるブドウ畑

そのペリゴール地方に伝わるのが、フランス南部の方言で「Bouirycou」(ブイリクー)と呼ばれるかご。

 

ヨーロッパの一般的なかごの作りとはまったく異なる、独特の技法と構造が特徴です。

どこからどう伝わったのかは不明だそうですが、1900年代の初頭にはすでにこの地域でひろく使われていて、150人以上もの作り手がいた時期もあったそう!

農作物の収穫や運搬に欠かせない道具として使われたほか、家庭では洗濯かごや、食器の収納用に。マルシェでの買い出しにも、お店やさんの店先でも、これ以外のかごを見かけることはないくらい、身近に使われていたそうです。

地元のマルシェをのぞいたら、やっぱりありました!
 

製作をおねがいしているフィリップさんの工房にお邪魔してきました。

 
晴れの日は、広々とした中庭が仕事場。
 

ブドウ農園を営む両親のもとで、かごに囲まれて育ったフィリップさんにとっても、ブイリクーは幼いころの思い出の欠かせない一部。

その技を継承する人がいないことを残念に思い、ならば自分が、と40歳を過ぎてからかご作りの仕事を始めたそうです。

作り始めたとき、地元の作り手たちはすでにみな高齢で、直接教えてもらうことはできず、実物のかごを見ながらひとりで学ぶしかありませんでした。技術書や資料などもないため、習得までにはとても時間がかかったよ、と話してくださいました。

<ブイリクーを作る>

素材のヤナギは、収穫ののち半年以上は干して、芯までしっかりと乾燥させます。

ブイリクーは普通、皮付きの枝で編みますが、今回は特別に表皮をむいた白い枝をつかったかごをお願いしました。皮をむくための機械はあるものの、半分は手作業。かなりの時間と手間を要する工程です。

編む工程を最初から見せていただきました。真ん中からスタートして、渦巻き状に編んでいきます。

一目編むたびに、毎度ひっくり返して、裏側からもかならず編み目をチェックされていたのには驚きました。

仕上げの縁の部分は、3重にまくのがフィリップさん流。

枝の次ぎ方、切り方などなど、美しく仕上げるための細かな工夫が随所にこらされていることがよくわかりました。

時代は変わり、今、伝統的な技を受け継ぎこの地で製作を行っている作り手はフィリップさんを含め数人ほどに。

とはいえ、フランスでは今も広く知られ、愛用者も多いペリゴールのかご。
日本の皆さまにも愛されるかごとして、これからも作られ続けていくことを願っています!