先日は、山形と新潟の県境にある、関川に行ってきました。
日頃、取り扱いをしている、独特の編み目模様がかわいらしい「シナの皮」を使ったかごを詳しく知るため、一年ぶりに現地を訪れてきたのでした。
日本各地にひろく自生するシナの木。
その繊維は、ロープの原料にもなるほどの強靭さがあり、縄文時代にはすでに、網や袋、衣類などに利用されるなど、日本人の生活に深く根ざす素材として活かされてきました。
きれいな川の水は、シナの素材づくりに欠かせない
条件の一つです。
梅雨の頃に伐採し、幹からはがした樹皮は、まず干してしっかり乾燥させたのち、灰汁で煮たり、糠に漬けたり、川の水にさらしたりといった手間のかかる工程をいくども経て、ようやく繊維が姿をあらわします。ここまでで約半年!
さらにこれを裂いて、束にして撚りをかけ、ひも状にしたものがかご編みの材料となります。
作り手のかたは、現在70代後半。山間部の豪雪地帯に生まれ育ち、暮らしに不可欠な道具たちはすべて、ちいさな頃から見よう見まねで作ってきたといいます。
私たちがこのカゴに興味をひかれたのは、実はこの模様が地域に伝わる伝統的なデザインでは「ない」というところでした。
下にいくほど徐々に広げるのも独自のアイデア。
一段一段、大きさを確認しながら製作していきます。
アイデアが生まれたのは十年ほど前で、実は近所の食堂で見かけたあるものがヒントになったそう。。。それは、縄暖簾に編み込まれていた模様でした。
「娘と店を訪れるたびに、詳しく観察していたんですよ。」と誕生の秘密を笑いながら語ってくれたのでした。
地域に伝わってきたシナの紐づくりの知恵と手業に、ちょっとユニークな発想が合わさって生み出された、花編みの手提げかご。
伝統的なかごづくりを続けつつも、作り手さんそれぞれの感覚や日々の発見のなかで、新しいかごもどんどん作ってほしいですね!
次回はぜひ、作り手さんとともにこの食堂を訪問したいなあと思っています。