一週間ほど前の話ですが、笹の一種を素材としてかごづくりを
行っている作り手さんたちと、材料採りに行ってきました。
そこは、以前から目星をつけていたという岐阜県の山間部だった
のですが、残念ながら、ほとんど採ることができませんでした。
数か月前に、笹が開花したことによる「枯れ」が原因のようでした。
「開花」のニュースは、竹や笹と関わりのある人にとっては、
ちょっと心配な出来事。
竹類は、50年から100年以上の周期でまれに花を咲かせ、
実をつけた後は、一帯の竹が枯れてしまうため、その後しばらくの間
採取ができない時期が続くと言われています。
昭和40年前後に、国内の竹細工が衰退してしまった原因として、
プラスチック製品の台頭や、安価な外国製品の輸入があげられて
いますが、その時期に重なるように、全国規模で竹が開花したことも
大きな要因だったようです。深刻な材料不足が、状況に追い打ちを
かけたという記録が各地に残っています。
本来、地下茎のみで繁殖していく竹が、数十年に一度だけ花をつける
理由は今も解明されておらず、諸説存在するそうですが、変わりゆく
自然環境に対して「種を保存するための手段」であるという説があります。
環境の変化に対応するため、自らの命と引き換えに花を咲かせ、
種を遠くまで運ばすことで、子孫を残すのだそうです。
今後の材料確保という点では不安が残りましたが、
竹の神秘と、生きる力の強さを強く実感する一日になりました。
いとう