毎年恒例となっている「沖縄のかご」をテーマにした企画展が、国立店ではじまりました。
今回のタイトルは『風吹く島のむぬ』。
「むぬ」は、与那国島の言葉で「もの」という意味です。
8月は国立、9月は松本での巡回展という形で開催いたします。
7回目となる今年は沖縄各島のかごに加え、「与那国島」の手仕事にスポットを当てた内容となっています。
<よなは民具> クバ(枇榔)の葉を使った、団扇、水汲み、鍋敷きなど、さまざまな民具を手掛けています。
毎年このイベントを全面的に協力してきてくれたのが、「よなは民具」の與那覇有羽さん・桂子さんご夫妻です。
クバの葉を使ったさまざまな民具の制作に加え、これまで5回にわたりワークショップも開催してくださいました。
そして、昨年の夏、與那覇さんが紹介してくれたのが、東京と与那国島を拠点に活動している写真家の山﨑萌子さんでした。
山﨑さんは、島に滞在する間、與那覇さんご一家と生活を共にしながら、与那国馬や島の風景を写真に収め、ご自身で漉いた紙を使った作品を制作されています。
紙の原料となるのは、与那国島で採れる苧麻や山芭蕉、そして馬糞の中に含まれる繊維など。
凹凸のある手漉きの紙にプリントされる写真は、精巧に写し出すことはできない分、余白が生じることによってまるで絵画のような奥行きがうまれます。
もともとは写真を印刷するために身につけた紙漉きの技術ですが、今では「紙を漉くために写真を撮っている」感覚に変化してきたのだとか。 撮影した瞬間の風のにおい、その土地がまとう空気感までも一緒に伝わってくるようです。
<山口陶工房> 白い粉引きを中心に、身近な土と灰を材料とした、使うほどに手になじむ器たち
<やまいとぅ工房> 山に自生するトウヅルモドキ(やまいとぅ)を繊細に編みあげた、うつくしい蓋付きのかご
与那国島の作り手による民具やかご、うつわとともに、山崎さんの写真を通して「風吹く島のむぬ(もの)」のあたたかみを感じていただけることと思います。