福島県いわき市の小名浜港は、東日本大震災まで東北有数の水揚げ高を誇る港でした。春から夏にかけてのカツオ漁、秋のサンマ漁を中心に豊富な魚種の水揚げが行われていました。
プラスチック製のコンテナが登場する昭和40年代前半まで、港内の魚の運搬に使われていたのが「万漁かご」とよばれるとにかく頑丈な竹籠。50キロ以上もの魚を載せ、引きずっても耐えうる強さを第一に求められた、港での仕事に欠かせない道具のひとつでした。
昭和40年頃の最盛期は、港周辺だけでも8軒の竹細工店が並び、多くの職人たちがしのぎを削っていた時代があったそうですが、現在は西山昭一さん(82歳)お一人のみ。後継者はおりません。
そのかごづくりの記録を残そうと、ドキュメンタリー映画監督の纐纈あやさん、カメラマンの石井和彦さんとともに、昨年より取材を重ねてきた映像がひとつの作品となりました。
西山さんの60年以上の経験を経て磨かれた手技はもちろん、竹を選び切り出す作業から日常の素顔まで、20分ほどにまとめた映像を店内にて自由にご覧いただけます。
また、万漁かごをはじめとする、西山さんの手掛けた竹籠も数多く揃え販売いたします。
ひとつのかごができあがるまでに必要なひとつひとつの動きと心地よいリズムを、目で見て耳で感じていただければと思います。
会期:3月28日(水)‐4月8日(日) 10:30~17:00
※4/2,3(月火)休