こちらは二年前に訪問した、千葉県の匝瑳(そうさ)市の「木積地区の箕づくり」にお邪魔した時の模様です。
「木積箕づくり保存会」では、毎月第一土曜日に会員の皆さんが集まって作業をしてますが、一般の人も自由に体験、見学をすることができます。
この日は、箕の材料となる「フジ」と「シノダケ」を刈りに山に入ると聞いて、はじめて参加させていただきました。
まずはじめに感じたのは、みなさんとても楽しそうに和気あいあいな雰囲気であるということ。箕づくりの技術の習得を目的にしつつも、会員のみなさんが定期的に集まって、楽しく作業することを大切にしている印象をうけました。
まずは、フジの採取のため森の中へ。
木々に絡んでくねくねしたものではなく、できるだけまっすぐ長いものを探すのですが、これがなかなか見つからず。ベテランの方のあとをついて歩くのがやっとで、自分だけでみつけることはできませんでした。
採取できたフジはすぐに土の中へ。
しばらく寝かせることで、樹皮や芯を取り出しやすくするのが目的ですが、たまにどこに埋めたかわからなくなってしまうことも。
この日も、スコップで土を掘り起こしていたところ、以前埋めたと思われるフジが数本発掘され、みんな大笑いしていました。
お昼休憩の後は、篠竹の採取へ。
道路沿いの斜面に群生している場所を見つけ、切り出す人、運び出す人、結束して車に乗せる人など、それぞれ分業で作業を行い、みるみるトラックの荷台がいっぱいになりました。
作業場まで運び入れると、すぐに竹を割って天日干しします。竹を割る作業はやはりなかなかうまくいかず、いくつかの材料を無駄にしてしまったのですが、そんなの当たり前という雰囲気で、なんでも体験させていたけたのがうれしかったです。
乾燥がはやまります。
ここまでの今日一日の作業時間は約6時間。思ったよりもあっという間の楽しい時間でした!
今回は材料を準備するまでの作業でしたが、早い人だと3か月程度で一枚の箕を仕上げることができるのだそうです。
木積地区の箕づくりも、国の重要無形民俗文化財に指定されていますが、他の箕の産地と同様、需要の低下や価格の問題、一枚の箕を製作するのにたいへんな労力がかかるなど、多くの課題がありました。昭和の最盛期には、年間12万枚が出荷されていましたが、現在はわずか数十枚ほどの生産量の状況です。
しかし、参加されているみなさんの姿を見ていると、技術の継承を目的にしているだけではなく、地域内外の人の交流や地域文化全体を盛り上げる一つのツールとして「箕づくり」を捉えているような印象を受けました
これまで何度か参加していたことのある知人が話していた「居心地がいい」という言葉の意味がよくわかる訪問でした。
お世話になった皆さま、ありがとうございました!