こぎん刺しのはなし

日本三大刺し子の一つ、こぎん刺しは青森県津軽地方の伝統工芸品です。
「こぎん」とは津軽地方の言葉で、野良着(小布)を意味します。

津軽地方は綿の栽培に適さず、かつては綿の衣類を入手することも困難な
時代がありました。
江戸時代中期には、農民に木綿の着用を禁止した歴史もあり、衣類といえば
麻素材が一般的でした。しかし、麻の繊維は粗く、きびしい冬の寒さを耐えるのは、
とてもたいへんなことでした。

その後、木綿の糸が手に入るようになると、農家の女性たちは布目を埋める
刺繍を施して、空気を服の中に取り入れる工夫をしました。
また、刺繍を細かくすることは、衣類そのものの耐久性が増し、装飾性の向上
にもつながっていきました。

このように、保温と補強、装飾を兼ねた暮らしの知恵は母から娘へと伝えられ、
今なお、お嫁入りにはこぎん刺しの晴れ着を着用する慣習も残っているそうです。

こぎん刺しの奥深い背景とその魅力、ぜひお手にとってご覧ください。

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