からむし織をめぐる旅 続編

さてさて、つぎの作業はいよいよ「垣つくり」。
焼き畑、施肥の作業を終えた後に、畑の周囲を囲む作業です。

今日、作業を見学させていただくのは、斉藤さんです。
背が高くて、動きが機敏。とっても、カッコイイ方なのです!

(施肥後にワラをしいた状態で、垣作りがスタートします)
 

垣の素材に用いるのは、「カヤ」の一種。
畑を覆ったわらと比べると赤みが強く、硬さもありしっかりしています。

いまでは、石油素材の網を用いることが一般的になってきたようですが、
斉藤さん曰く、
「垣作りには、このカヤが一番。畑の立地により、風向きも微妙に異なるんだ。
ウチの畑の場合、風が強くあたる方角には、カヤを厚くしてやる。
そうすれば、からむしが成長する環境を同じにしてやれるからね。」
そう言いながら、テキパキと囲いの作業を進めていくのでした。

(本当に仕事が早いのです!)
 
(高さもピタッーと揃いました)
 
 
 (完成! 自然に溶け込むうつくしさです。)
 
午後から開始の作業も、夕方過ぎには、すべての作業が終了しました。

斉藤さんの話は、知識と経験に裏打ちされており、なおかつ段階的に

わかりやすく説明してくれるので、とーってもおもしろかったです。
貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました!
 
そして夏の収穫、秋の糸づくり(苧績み:おうみ)と織りの作業、
雪の中での寒晒しと、織物として完成するまでにはまだまだ気の遠くなるような
手仕事が続きます。
からむし織が生み出されるまでにかかる手間の多さ、そしてこの技に凝縮された
人びとの知恵と苦労は知るにつれ心を打たれます。
 

編み組みが盛んな奥会津の中でも、特に繊細で美しいかごが

昭和村で生み出されている理由が、わかったような気がしました。

 
征一郎

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