つぐらをめぐる旅

こんにちは。伊藤征一郎です。

この数日は、すっかり春の気配が色濃くなってきましたね。
こちら東京の西側も、梅の花がきれいに開いています。

先週は、「つぐら」をもとめて、長野県の栄村に行ってきました。

まだまだ雪が深く残っていて、除雪された道路の脇には、
壁のような高さの雪が残っていました。

「つぐら」とは、藁で編んだかごのこと。
地方によっては「ちぐら」とも呼ばれています。

米どころであり、国内有数の豪雪地帯でもあるこの地では、
冬場の手仕事として、わらを使用したかご作りが盛んな土地です。

旅のきっかけは、お櫃を保温するわら細工を探していたことに始まります。

偶然にも知人の知人を通じて、現地を代表する作り手の方に製作を
お願いすることができました。

今回は、その方を訪ねる旅。友人であり写真家の大西暢夫さんも一緒で、
たのしい訪問となりそうです。

こちらが「飯つぐら」です。
三合用のお櫃に合うよう、作っていただきました。

作り手のおじいちゃんは、90歳に近い年齢。
一つ年上のおばあちゃんと、とても仲良くされていたのが微笑ましかったです。

たくさんの郷土料理でもてなしていただきました。
 

しばし談笑のあと、実際の作業を見せていただくことに。
一本のわらをつかんで、一本づつ継ぎ足し継ぎ足し編み込んでいくのです。

 

 

大西さんも、撮影に力が入ります。
 

 

これは、70年前に作ったという、育児用のつぐら。
農繁期の忙しい時に、赤ちゃんを入れたカゴです。
仕事中に目を離しても危なくないように、工夫してつくられています。

作業後に、おじいちゃんの手を見せていただきました。
長年の作業で、人差し指が変形していましたが、つややかでやわらかい
職人の手でした。

「習いたい人がいるのなら、おしえたい。このつぐらづくりを残していってほしい。」
最後におじいちゃんの語った一言が、とても印象的でした。

征一郎



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