長野県松本市で「大久保ハウス木工舎」を営む木工職人、大久保公太郎さんによる木の台所道具です。
大久保さんが手掛けているのは、「南京鉋」とよばれる曲面を彫ることのできる特別なカンナをつかって、木の塊から一点一点削り上げる、木の台所道具たち。
こちらは、栗の木を削ったしゃもじです。
横幅は約6センチほど、持ち手は長めの、すっきり細身のシルエット。
取り回しがよく、ご飯をふっくらおいしそうによそうことができる、手なじみのよい形です。
5分ほど水につけてから使うと、ご飯粒がつきにくく快適です。
柄の長さや厚みにも、こまやかな工夫が。
栗材は、国内産の木材の中でも高い耐久性を誇る木で、堅くて丈夫。また、タンニン成分が水を弾いてくれるため、木の中に水分が浸透しにくく、昔から建築土台や枕木などに利用されてきました。
この性質が、繰り返し水につけたり、乾かしたりを繰り返すしゃもじの用途にも、とても合っているのです。
木目の出方や色の濃淡は、木一本一本の個性や、材を丸太から切り出す角度によっても大きく変化します。
それぞれの個性を見極めながら手作業で削りあげているため、サイズや形もわずかずつ異なり、全く同じものはありません。
色は、時間の経過とともに深まっていきます。
無塗装の木とは思えないツヤと手ざわり。
やすりを使わずに、カンナのみでここまでなめらかに仕上げることができるのは、カンナの性能と削る技術にとことんこだわり、研究を重ねてきた大久保さんだからこそ。
京都の建具屋さんでの修行ののち、木曽の専門校で木工を学び、地元の松本に戻って2012年に「大久保ハウス木工舎」を立ち上げ独立した公太郎さん。
お隣で「ギャラリーsen」を営む修子さんと二人三脚で木を削る仕事に向き合っています。
どの木、どの部位にも異なる個性があります。それぞれの性質を読み取り、素材として生かし切る。職人だからこそ実現できる、きめの細かなものづくりが伝わってくる一点です。
- 天然の木材を手作業で削り上げた製品です。木目の出方や色の濃淡、形やサイズは、一点一点少しづつ異なります。写真は一例とお考え下さい。
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食洗器・乾燥機のご使用はお控えください。洗った後は水気をふき取り、風通しのよい場所で乾燥させてください。