3月11日、私はさいたま市の職場で、生まれて初めて立っていられないほどの揺れを経験し、その日は職場で床にダンボールを敷いて寝ました。そして、翌日からの計画停電により、街路灯や信号も消え真っ暗な道を帰宅。帰れば、自宅地域が停電。ロウソクと懐中電灯でパンをかじり、パンすら店の棚にないという日々。津波の被害にあった方々に比べればどうってことない程度のことですが、続く余震や放射能のこともあり「この先、どうなるのだろう」と私も街全体も重苦しい雰囲気に包まれていました。原発で作った電気を使って便利な生活を享受してきたという反省は、当時のほとんどの人が抱いた思いではないでしょうか。価値観を変えていく必要がある、誰もがそういう覚悟をしたはずです。
秋が過ぎ、さいたま市は信号も街路灯も電車も元通りになってきました。でも地震・津波・原発の悲惨さは忘れられません。ただ地震直後、皆がなんとなく抱いた覚悟は薄れてきたように思います。大事なことだと思うのですが。
大西さんの報告は、東北の人々への支援の気持ちを忘れないためのきっかけになるとともに、私たちの生活をみつめなおすということも思い出させてくださいました。ありがとうございました。いつか写真集になって、全部の取材写真が見られると嬉しく思います。
お店からのコメント
ご感想をいただき、ありがとうございました。私は、この冊子をめくるたび、確実に薄くなりつつある自分の中の震災の記憶に気づかされます。大西さんが撮った写真集、私もいつか見てみたいです。
伊藤征一郎