沖縄本島、今帰仁(なきじん)村に伝わる「わらびかご」です。
この地域で「わらび」と呼ばれるのは、シダ植物の一種「コシダ」のこと。
毎年伸びるシダの柄を利用した、昔ながらのかごです。
赤銅色の独特のツヤがあり、ストローのような中空構造。水気に強いのも特徴です。沖縄本島では、今帰仁村の周辺が産地として知られてきました。
こちらは、横幅40センチほど、太く長いコシダを贅沢に使った、
格別な存在感をもつ一点です。
素材のうねりにさからわない作りで、見る角度によって
少しづつ表情が変化するのも魅力となっています。
地下茎からどんどん繁殖するわらびは、子孫繁栄、商売繁盛の縁起ものと考えられてきたそう。
現在ではごくわずかとなった今帰仁の作り手が、手とハサミだけを使い、かつてのままの姿に編み上げています。
|今帰仁のわらびかご|
野良仕事用から食卓のかごまで、沖縄の日常を支えてきたわらびかご。
毎年春に新しい葉を茂らせるコシダの、まっすぐにのびた葉柄の部分が、かごの素材となります。
周辺にコシダとソテツしか見えないほど多く生えていたという今帰仁ですが、土地開発や外来植物の影響などで、今は車で数時間かけて行かなければ充分に採れなくなっているそう。
国内全体を見渡しても、コシダのかご作りはごくわずかに残るのみとなっています。
採取は、葉柄がかご作りに適した固さになる夏時期が中心。採った素材は、乾燥してしまうと編めなくなるため、できるだけその日中に編み上げてしまう必要があります。
作るものの形や大きさは、その日に採れた材料次第のため、結果として一点ものが多くなるところにも、わらびかごのおもしろさが隠れています。
- 天然の植物を利用した、昔ながらの実用のかごです。色むらや部分的な変色、小さな折れや割れ、若干の歪み等が見られる場合がございます。素材の性質としてあらかじめご了承くださいませ。
- 写真の色合いは、閲覧画面により多少見え方が変わります。
- 風通しのよい場所で、乾燥した状態で使用・保管してください。