「小原かご」は、滋賀県北部の山深い地域に受けつがれてきた、イタヤカエデやモミジなどの素材で作る 木のかごです。
滋賀県北部、福井県との県境に近い奥丹生谷（おくにゅうだに）には、かつて7つの村がありました。麻の種をまき、豪雪に備えてあらゆる山の恵みを蓄える。ほとんどの生活道具を自分たちの手でつくる暮らしを続けてきました。
特に旧・小原村ではかごづくりが盛んに行われ、いつしか小原かごと呼ばれるようになったそう。
軽くて丈夫。100年以上も長持ちするといわれる小原かごは、山間部だけでなく、琵琶湖沿岸の市街地でも多く使われ、地域の必要に応じてさまざまな用途のかごがつくられてきました。
現在は余呉町に移住し、その技を今日まで受け継いできた太々野㓛（つとむ）さん(88)と、荒井恵梨子さん(36)が、小原かごの継承に取り組まれています。
浅めに仕上げたかわいい「おかしかご」の作り手は、荒井恵梨子さんです。
直径16センチほどの、小さなお皿のようなサイズ感。
ヤマモミジを主素材に、縁にはリョウブ、底にはアカメガシワの樹皮も使われています。
つぎかごとよばれた、端切れを保管しておくためのかごが元になっています。
底の4つの角には、アカメガシワの樹皮を挿し込み補強しています。
｜小原かご｜
毎年、初冬の森に入り、適切な太さでまっすぐに育った良木を選んで切り出します。
年輪に沿って薄く剥いで作るハゼ（編み材）の準備も重要な作業の一つ。小原かごの編み材は、中央部分にわずかに厚みをもたせるように両端を削るため、多くの手間を要しますが、手当たりがよく目の詰まった丈夫なかごを仕上げることができます。
琵琶湖沿岸部はかつて養蚕が盛んな地域で、桑の葉を集めるための丈夫で軽いかごが重宝された歴史があります。その他にもさまざまな形のかごがつくられ、地域に広く流通していました。
手なじみのよいふっくらとした形。使うほどに光沢が増し、数十年を経て使いあめ色になっても使える丈夫な木籠の魅力を感じていただければ幸いです。
太々野㓛さん、荒井恵梨子さん。
- 天然の木材を利用した手作りの製品です。色むらや小さな割れ欠け、ささくれ、若干の歪み等が見られる場合がございます。あらかじめご了承くださいませ。
- 底はわずかにふくらんでいるため、空の状態ではすこし揺れることがあります。
- 製品の色合いやサイズは一点一点少しづつ異なります。写真の色や表示サイズは目安とお考えください。また経年変化により、徐々に茶色へと変化していきます。
- 風通しのよい場所で、乾燥した状態で使用・保管してください。
