愛媛・松山にて竹細工を手掛けている 松田由紀さんによる角物のかごです。
カッチリと四角い箱型のつくり。
ふたや持ち手も取り付けられる「角物」(かくもの)は、九州地方で広く作られてきた竹細工の種類の一つです。
その伝統的な技術を学んだ松田さんが作る ふた付きのかごは、堅牢な実用性とこまやかな美しさを兼ね備えています。
こちらは「正方」浅かごの「中」サイズです。
一辺が約17cm、本体の深さは7cmほど。
たとえばお菓子箱やお裁縫箱に。手に取りやすいサイズ感ときりりと端正な佇まいが魅力です。
ふたは、自由に取り外せる「合口」タイプ(丁番なし)。物の出し入れがスムーズです。
2019年に別府の竹工芸訓練センターを修了後、修業期間を経て出身地の松山に工房「竹葉(ちくよう)」を立ち上げた松田さん。
白竹の清涼感や、シンプルな存在感を大切にすることを意識しながら、日常にさり気なく寄り添うようなかごを作りたいと語っています。
<角物のかご>
十数種類もの竹の部品を正確につくり、組み上げていく角物づくり。「角物師」という呼び名が存在するほど、専門的な技術と熟練が求められます。その技は、明治の頃に九州に伝わったといわれているそう。
まずは、素材となる竹の節間の長さや節の位置、堅さや湾曲の度合いなどを細かくチェックしながら、各パーツに最適な部位を選び、割り当てていきます。
それぞれ幅や厚みを整えて、長いパーツ、幅広のパーツから順に部品を仕上げます。竹ひごに熱を加えて直角に曲げる「火曲げ」も、この段階で行います。
出来あがったパーツを蓋、本体の順に組み上げ、縁部分を仕上げたあと、持ち手や丁番を付けて完成です。
職人たちの技に支えられ、今日まで受けつがれてきた角物のかご。今なお、暮らしを潤す道具として広く愛されています。
- 天然の植物を利用した製品です。素材の一部に小さなキズや色ムラ、ササクレ等が見られる場合がございます。
- ふたと本体の間には、多少の隙間やずれが生じます。また、角の部分には火曲げによる焦げ跡が見られることがあります。竹製品の特徴としてあらかじめ何卒ご了承くださいませ。
- 直射日光・高温多湿を避け、風通しのよい場所でご使用ください。
- 色味は、経年により少しづつ深まっていきます。