「太平箕」で知られる、秋田市・太平黒沢地区。最後の箕づくり職人、田口召平さんが手掛けたかごです。
本品は、キハダ樹皮の一枚皮で制作したトレイです。
キハダがかご細工に用いられることは、一般的には稀ですが、田口さんは、独特の色合いが美しいキハダを、自らのかごに好んで用います。
「キハダというのは贅沢な木です。しっとりとして、なだらかで、ほどよい冷気の流れる場所を選んで育つんですよ」
そんな話を聞かせてくれました。
シンプルに思える一枚皮のトレイですが、細部には技が詰まっています。
縁の外側にはサルナシ、内側にはイタヤカエデの材を当て、ぶどうの蔓でかがっています。
皮一枚一枚の性格に合わせ、無理のないように形を整えていきます。そのため底は平らではなく、置いた時、多少の傾きがあります。
おもて面の表情も味わい深い、キハダ素材。
|田口さんと太平箕|
秋田市のシンボルとして愛されている太平山のふもと、太平黒沢地区は「太平箕(おえだらみ)」の伝統的な産地。
昭和12年、この地に生まれた田口召平さんは、4代目の職人として箕づくり一筋 70年近いキャリアを重ねてこられました。
編む技術に加え、素材となるさまざまな植物の見つけ方、善し悪しの見分け方、最適な採取時期など、膨大な山の知識と経験を積んできた田口さん。
近年は、その技を生かして、多種の素材を組み合わせたかごも多く手掛けていらっしゃいます。
田口召平さんと年代物の太平箕。
- 本品は天然の樹皮を利用した手作りの製品となっております。傷や汚れ、色むら、節部分の穴やゆがみ等が見られます。素材の性質としてあらかじめご理解くださいませ。
- 底は凹凸があり、置いた時多少の揺れがあります。
- 水洗いには適していません。お手入れの際は、乾いたタワシなどで軽くブラッシングを行ってください。
- 風通しの良い場所で、乾燥した状態で保管してください。(湿度の高い状態で放置しますと、変質の原因となります。)