編み組み細工の盛んな、福島・奥会津地方で作られたヒロロのバッグです。
ヒロロとは、細長い葉を持つ常緑の草「ミヤマカンスゲ」(深山寒菅)の会津地方での呼び名。
その葉を撚って縄状にすることで強度を高め、かごなどの民具づくりに利用されてきました。
本品は地域のベテランの女性の作り手によって制作された、かろやかなショルダーバッグです。
ヒロロならではのしなやかさ、強さはもちろんのこと、丁寧に綯われた「縄」そのものの魅力を感じていただけることと思います。
留め具はヒメグルミの実。アカソ(赤麻)の紐で固定しています。
肩紐は、小縄をさらに3本撚りあわせた丈夫なつくり。
ヒロロを採取するのは、若い葉が丈夫に育ち切る8月の終わり頃。天日干しで乾燥させ、手作業で何十メートルもの小縄に綯った上で、かごの形へと編みあげていきます。
長く使えるようにと、手間ひまを惜しまず、とてもしっかりとした編み上がりとなっています。最初は弾力が強く、少しかたく感じられるかもしれませんが、使うほどに手ざわりよく、体になじんでいきます。緑色は少しづつ薄くなっていきます。
奥会津といえば、冬には雪に閉ざされる豪雪地帯。ここに根ざして生きる人々にとって、長い冬の農閑期は、日ごろ使っている生活道具をメンテナンスし、来年に必要なものを作り、準備しておくための貴重な時間でした。
かご・ざるなどの編組品もその一つ。竹が生育しにくいきびしい冬の環境から、草や蔓、樹皮など、山に自生する植物を素材とする、この地方独自のものづくり文化が発達しました。
シンプルなデザインの中には、豊かな山の恵みとともに暮らしてきた人々の技と知恵が凝縮されています。
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天然の植物を利用した手作りの製品です。色むらや繊維の飛び出し、多少のゆがみ等が見られます。製品の特徴としてあらかじめご理解くださいませ。
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補強のため、要所要所に接着剤を使用しています。
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風通しのよい場所で、乾燥した状態で保管してください。(高湿度の状態で放置しますと、変質の原因となりますのでご注意ください。)