宮城県の大和町で、古くから作られてきた「肥料振りかご」。
その名の通り、田畑に肥料や種をまく際に使われたかごで、ふとい木の枝の一本持ち手に、その名残が感じられます。
本品は、大和町の昔ながらの職人の教えを受け、その技を受け継いだ作り手さんが手掛けたものです。
細く切りそろえた「鈴竹」に「ウダイカンバ」を編み合わせ、やさしい色合いに仕上げた一点。
ウダイカンバの樹皮は、白樺樹皮に似た、明るい茶と白のまじりあった色味が特徴。本来使われてきたヤマザクラの濃色とは一味ちがう、あかるく かろやかな印象です。
すき間にフジの繊維を挟み込むのは、細かなものも取りこぼさないための、昔ながらの知恵。
角を直角に立ち上げる独特のつくりは、「アクド」と呼ばれ、「箕」を作る際の角の補強技術を取り入れたものです。
木の枝をかんなで削った一本持ち手には、杉の代わりに白く美しい「カエデ」を採用。しっかりと取り付けられており、安定感よく持ち運ぶことが出来ます。
角には、補強のため、樹皮が二重に差し込まれています。
小 約23cm、大 約31cm、中 約27cm。
鈴竹・ウダイカンバ・藤・真竹・カエデ、と5種類もの植物を組み合わせた手の込んだ作り。
伝統の肥料かごに、あらたな素材の妙を加えた美しい一点です。
<箕と肥料振りかご>
このかごの故郷である宮城県の大和町は、仙台北部の平野に位置する農村地域です。
農業に加えて農作業用のかごづくりも盛んだった土地柄で、ここで作られた箕(み)や収穫用のかごは評判が高く、県外にも多く出荷されていたそうです。
穀物の選別や運搬に使われる「箕」は、軽くしなやかで、なおかつ丈夫であることが重要。そのため、単一素材ではなく複数の素材を組み合わせ、多くの編組品の中でも、とりわけ高度な技術が凝縮しています。
「肥料振りかご」はその箕づくりの技から生まれました。
素材はすべて、宮城県内にて作り手自身が採取したもの。藤は春、山桜は夏など、それぞれ適した季節に、適した状態の素材を選び、時間をかけて下処理を行っています。
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本製品は自生する植物を利用した手作りの製品です。天然の汚れや変色、小さな割れや節部分の欠け等が見られます。素材の性質としてあらかじめご理解くださいませ。
- 製品の色合いやサイズは一点一点少しづつ異なります。持ち手には削った木の枝を使用しており、色味や形、木目や節穴の出方などは一本ずつ異なります。写真は目安とお考え下さい。
- 底はわずかに丸みを帯びた構造です。置いた時、多少の揺れがございます。
- 色味は、経年により茶色へと変化していきます。
- 高温多湿を避け、風通しの良い、乾燥した場所でお使いください。