かご小話: ダーラナ地方の馬

ハイテクな先進国というだけでなく、美しい家具やシンプルな
デザイン、そしてあたたかな手仕事が今に伝わる国として、
知られるようになったスウェーデン。
なかでも豊かな自然に恵まれた中部のダーラナ県は、スウェーデンの
民族的な伝統が色濃く残る、人々の心のふるさとのような地域です。
その文化は、祭りや音楽、そして手工芸の中にも脈々と受け継がれています。
仕事のパートナーでもあるスウェーデン人の女性も
「夏はいつもダーラナにある手工芸の学校でカゴ編みを習っているのよ」、と
話していました。
さて、この地方を代表する民芸品が「ダーラナホース」とよばれる木彫りの
馬の人形です。スウェーデン語では、ダーラヘスト。
カラフルなペイントできれいに飾られた、ちいさなかわいいお馬さんです。
その昔、この地方の家庭ではよく余った木材を使って、子どもたちのために

小さな馬の人形を作っていたのが由来だそうです。

明るい色に塗られたこの玩具はいつしか人気を博すようになり、
今ではダーラナ地方、そしてスウェーデンを象徴するモチーフとなったのです。

日本にも、秋田のイタヤ馬や、福島の三春駒など馬をかたどった郷土玩具が
多くあるせいでしょうか、素朴なダーラナホースにも、なんだかとても
親しみが感じられます。
森や田畑での重労働を支えてくれる力強い相棒だった馬。
土地の自然や動物への愛情が込められた、暮らしに根付く民芸の心が
ここにもあった、そんな気がしました。