かご小話: あけび職人に聞く

今回の東北の旅では、かごの達人たちにお会いして、いろいろな

お話を伺うことができました。
そこで今日は、秋田県であけび職人として活躍されている方から
かご作りについてお聞きしたことをご紹介したいと思います。
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山であけび蔓を採るのに最適の時期は、晩秋です。
脇芽の出ていないもの、地面を這ってまっすぐに伸びたものを選びます。
木に絡んで上に伸びたものより、色むらやねじれがなく質がよいのです。

また、陽に当たっている蔓は色が黒くなるため、できるだけ薄暗い場所で探します。

採ってきたあけびの蔓は、5日から1週間ほど天日干しをした後、

風通しのよい日影にうつして数ヵ月間、完全に乾くまで自然乾燥させます。


編む前に、しばらく水につけて柔らかくします。
一度に編める分だけを
水につけて準備しておきます

太い蔓・長い蔓は大きなかごに、細いもの・短いものは小さなかごに。

色目も明るい部分、暗めの部分と分けて使うため、例えば手提げかごを
作る場合、蔓全体のうち、使える部分は2、3割にすぎないそうです。

あえて色ムラを生かして編んだかご
これもまた、味があります。

あけびが採れる場所は、年々減ってきているそうです。
そして、山に入る人が減ったことで山が荒れて藪のようになり、その中で
十数メートルにも及ぶ長い蔓を採る作業自体も、どんどん大変に
なってきている、ということでした。

自然と人とのつながりが薄まっている現状が、こういう形で
あらわれているのかもしれません。
昔は、炭焼きをする人や、堆肥づくりに使う草を採りにくる農家の人など、
山で仕事をする人も多く、山道が開けて歩きやすかったのです。

とはいえ、よい材料を揃えることは、よいかごを作る条件のひとつ。
編む作業そのものよりも、そこまでの下準備により多くの時間を割き
心を砕いておられる様子が伝わってきました。
職人さんの秘密道具(?)が並ぶ棚
ひとつのかごが生まれるまでの長い道のりをあらためて実感した、

今回の訪問となりました。

朝子