かご小話: 鈴竹細工のふるさと

鈴竹細工のふるさとは、岩手県の北端、一戸町とその周辺です。
いわて銀河鉄道、というロマンチックな名前の鉄道がとおっています。

高台から撮った一戸の風景。田んぼが広がる美しい場所です。

町内には縄文時代の遺跡もあり、この地に古くから人の営みがあったことが
分かります。焼き物で有名な久慈にも、漆で有名な浄法寺にも近く、
岩手北部のこの一帯は、昔から手工芸の盛んな土地柄だったのでしょう。

一戸町に伝わる鈴竹細工の起源は、平安時代にさかのぼるともいわれ、
江戸時代にはすでに盛んに作られていたようです。戦前戦後には
行李や持ち手付きのかごなどが量産され、各地に出荷されてゆきました。

真竹のかごに比べ、女性の作り手が多いのは、細くしなやかな鈴竹が
素材だからかもしれません。
とはいえ、材料採りやひご作りは決して楽な作業ではありません。

直径1センチ弱の鈴竹を、まず四つ割りにして、

一本一本、内側の肉を削いでいきます。
機械もあるけれど、やはり手で作業した方が
仕上がりが断然きれいです。

鈴竹細工の特徴のひとつは、美しく繊細な編み目です。代表的な
編み方である「網代編み」だけでも、数種類の組み方が存在します。

この地域の一番の名人によるつややかな「網代編み」

鈴竹細工といえば、市場かごや弁当かご、行李やざる類など多岐に渡りますが、
いずれも一人の職人さんが全てをつくれるわけではなく、このかごはこの人、
あのざるはあの人、とかなり専門化されています。

ひとつの形に習熟するまでの道のりの長さがそうさせるのでしょう。
そんなところにも、かご編みの奥深さを感じるのでした。

職人さんの道具箱。使い込まれていい色に。