かご小話(10) : 長生きのデザイン

季節ごとに新しい流行がやってくる日本。
常に最新のデザインが生まれ、そしてあっという間に消えてゆきます。
デザインの寿命はごく短いものが多いですね。
一方、ずいぶん昔の著作になりますが『手仕事のデザイン』という本の中
で、小野寺啓治氏はこう語っています。
「手仕事の場合、デザインとは一つの型になりきっていること」。つまり、
長いあいだ大勢の人の使用に耐えて残った長命のデザインにこそ、美しさ
や使いやすさ、丈夫さなどの長所が宿っているというのです。
長生きのデザインの条件としてもうひとつ、応用の幅の広さがあります。
たとえば鈴竹の美濃や文庫。当時貴重だった美濃紙や書籍を保管するため
の竹かごだったわけですが、現代では書斎を離れ、リビングやキッチン
など、様々な場所で使われる方が増えています。
裁縫道具や布、食卓の上で使うモノたちをまとめて収納してしまうなど
アイデア次第。なおかつ、ほこりや日焼けを防ぎ、湿気をコントロールし
てくれるわけですから、日本の気候に合った本当に機能的な道具ですね。
いつかiPadのような最新の機器などにも、手仕事のものが利用される日が
やってくるかもしれませんね。
寿命の長いデザインは、「伝統」と呼びかえることもできますが、その
言葉のイメージには収まりきらない新鮮な活躍を見せてくれるのです。