
やまぶどうの樹皮を編んだ、四つ目編みのお弁当かご。福島県奥会津地方にて制作されたものです。
やまぶどうは標高の高い深山に自生するつる性の植物で、その樹皮は、曲がった繊維や、節や穴が多くみられる野性的な素材。
その樹皮のうち、ごく一部のまっすぐな部分だけを厳選して端正に編み上げた、大変ぜいたくな仕上がりです。
手回しのローラーを使った「なめし」作業を行うことにより、色味の濃さと光沢がさらに増しています。
端正な「四つ目編み」のふた付きかごは、おにぎりやサンドイッチなどを入れて持ち歩くのも楽しいかろやかな形。
定番の長方形をアレンジし、正方形に仕上げたこのかごは、キャラメル型がかわいらしいオリジナルの一点です。
適度な弾力があって手触りよく、使い込むほどに艶がでて、味わいが増していきます。

長方形と比べて、横幅が広く片手では握りにくいため、開閉時はすこし固さが感じられるかもしれません。使用を重ねることで、徐々にスムーズになっていきます。
やまぶどうの繊維はとても強靭。その強さが頼りにされ、昔は山仕事の道具入れのかごが多く作られたそうです。
樹皮が採取できる季節はみじかく、数も減っていることから、今ではとても貴重な素材となっています。
編み組細工が脈々と受け継がれてきた福島の奥会津では、やまぶどうや またたびなど、自然から採れる素材を生かした暮らしのための道具が今も多く生み出されており、国の伝統的工芸品にも指定されています。