
ポーランドの南端、チェコやスロバキアとの国境に近い、森の村から届いたかご。スプルース(トウヒ)の根を編んだかごです。
ヤナギのかごが主流のポーランドにおいて、木の「根」を 利用したかごは、とても稀なものです。 村で最後の編み手の一人、ヤンさんの手により作られています。
カタチの面でも、たいへん特徴的。 ヨーロッパのかごとしてはめずらしい「足」つきで、底面に ブナを削った木の足が、安定感よく取り付けられています。 持ち手にはトネリコの枝を使用。編みだけでなく、木工の知識と技術も 必要とされる、熟練の仕事です。
現在は主に、卓上用の小ぶりのものが作られていますが、 かつては農作業用の巨大ものも活躍していたそう。
畑での収穫から、森でのキノコやブルーベーリー摘み、近くの街での 買い出しまで、人々の暮らしのあらゆるシーンを支えてきたかごです。

木の根でかごを作るためには、まずは森へ行き、土を掘り返して 根を採り、洗って、表皮をむいて割り整えて、と、編みはじめるまでに 膨大な手間がかかります。
スプルースの根は、浅く広く伸びる性質のため、他の木に比べ 採りやすいという特徴があります。
しなやかで強い繊維をふくむその根は、植生の限られる寒冷地では 貴重なかごの素材として古くから利用され、ポーランドの他にも、 バルト三国から北欧、北米などにも、時折同様の技法が見られるようです。
本製品は、ポーランドの非営利団体セルフェンタを通じて、 当店に届けられています。
同国各地に受け継がれてきたかご作りを次世代に伝えることを 目的に、調査、記録、そして作り手の支援などの活動を 精力的に行っています。

職人ヤンさんの工房にて。

トウヒの森。ふかふかの苔の中に伸びる細い根を利用します。
- 木の根を利用した手作りの製品です。色むらや天然の黒ずみ、小さなササクレ・割れ等が見られる場合がありますが、天然素材の製品の風合いとしてご理解いただいた上で、ご購入いただければ幸いです。
- 水に濡れますと変色の原因となりますのでご注意ください。また湿度の高い場所は避け、風通しのよい乾燥しやすい場所でお使いください。
- お届けする製品の色合い・木目は、一点一点わずかに異なります。 またサイズ・重量にも、多少の誤差がございます。表示のサイズは目安とお考えください。