佐渡のしちなりかご

ふっくらとしたシルエットが、独特の愛らしさのある
「しちなりかご」はもともとは苗を入れて、
田植えの作業や収穫などに使われていたものでした。

その名前の由来は不明ですが、地元で使われていた
「しつなり」という言葉が変化していったようです。
 
 
しちなりかごは、本体部分を篠竹、縁部分は「メグロ」とよぶ
目が大きくて柔らかい竹の
新子の部分だけを使用しています。
その唯一の作り手である永井勇さんは、現在87歳。
 

お父さんは、専業の竹細工職人として働いていましたが、
永井さんは50代まで自衛隊に勤務していたため、長い間、
島を離れて暮らしていました。
 
故郷に戻り、本格的にかごづくりをするようになったのは、
60代を過ぎてから。当時はまだ100人近い作り手さんが
地域で活躍していた時代でしたが、それでも一番の若手
だったそうです。 
 
親から直接教えてもらう機会には恵まれませんでしたが、
幼少の時からかごづくりを見てきたこと、もともと手を
動かすことが好きだったことから、特別に苦労した
覚えはないのだとか!
 
 
現在は、朝5時に起きて数個のかごを仕上げた後、
趣味のパチンコに行くのが毎日の楽しみ。
かごづくりにまつわる話をいろいろ聞かせてくれながら、
手を止めず、心地よいリズムでかごを編んでいく姿が
とてもかっこよかったです!
 
 
現在、その後継者となる作り手の方はおりませんが、
時折かごづくりを学びに来る移住者の方もいるよと、
うれしそうに話してくれました。
 
技術の継承、そしてその労力に見合う価格で販売することは、
決して容易なことではないと思いますが、島の風土と暮らしを
感じさせるしちなりかごを、今後も残していってほしいと
願っています。